157: 20/06/13(土)09:53:41 ID:ez.h6.L1
始めに断っておきますが、不快な話です。フェイク多目。

幼い頃から仲良しで、大好きな従姉がいた。

父方のおじの子で、私より年上。

姉がほしかった私は、家が近所だということもあり、すごく彼女に懐いていた。

優しくてしっかり者でお菓子作りと裁縫が得意で、そんな従姉は私の憧れのお姉さんだった。

社会人になっても交流は続き、もうお互い姉妹みたいな感覚になってたと思う。

先に私が結婚したときも、従姉は号泣して祝福してくれた。

妊娠がわかったときも我がことのように喜んで、素敵な手作りベビードレスをくれた。

このころ従姉は婦人科の病気を煩い、妊娠が難しい体だと判明していたので、余計に私の子の誕生を喜んでくれたようだ。

従姉は大変素敵な女性なのだが、この病気のせいで恋愛や結婚に乗り気でなかった。

だが、ひょんなきっかけで、そんな従姉に恋人ができた。

これがまた素晴らしい男性で、病気のことも承知の上で、必ず幸せにするからと従姉にプロポーズ。

最初は戸惑っていた従姉も、そんな熱意に押されて承諾した。

結婚が決まったの、と恥ずかしそうに教えてくれた従姉の幸せそうな笑顔を今も覚えている。

従姉の結婚式は、残念ながらよく覚えてない。なぜなら大号泣しすぎて常に視界が歪んでいたから。

うちの家からちょっと離れた場所に新居を構え、従姉夫婦は絵にかいたような幸せな新婚生活をスタートさせた。

けれど2年後、従姉の旦那さんは不慮の事故であの世に旅立ってしまった。

私も親戚もショックだったが、何より従姉の受けたショックは凄まじく、しばらく錯乱状態で入院までするはめになった(衝動的な自の危険性があった)。

あんなに元気だった従姉が、見る影もなくやつれて虚ろな目をして、時々悲鳴を上げて泣きわめくのを見たとき、従姉の心は壊れてしまったんだといたたまれなくなった。

が、そのときの検査で、なんと従姉の妊娠が判明。

従姉の病気のことを考えると奇跡的な妊娠だった。

不幸中の幸いと言うのもなんだが、これがきっかけで廃人みたいだった従姉は、めきめき回復。

亡き旦那さんの残してくれた子を守る、というのが生きる希望になったようで、前のような優しい従姉に戻っていた。
158: 20/06/13(土)09:54:25 ID:ez.h6.L1
その後、色々困難はあったけど、無事に従姉は男の子を出産。

誰が見ても太鼓判を押すほど旦那さんに似ている子だった。

従姉は、もう端から見ていて心配になるほど熱心に息子の育児に没頭した。

多少過保護なところはあったけど、立派な社会人になるようにと、躾から幼児教育から何もかも全力投球。

たっぷりと愛情と手間をかけて育てた息子は、素直で品行方正な子に成長した。

息子君は、うちの子にもよく懐き、うちの子も「年の離れた弟が出来たようだ」と喜んで、従姉共々家族ぐるみで遊びにいくこともあった。

息子君が成長するにつれ従姉の傷も癒えていくようで、良かったなぁと思ってたのだが。

息子君が中学二年になった時、事件が起こった。

ある秋口の夜、下姿で吐瀉物&失にまみれた息子君が、大号泣しながら我が家に駆け込んできた。

うわ何の事件かと我々はパニック、息子君はそれ以上にパニック。

どうにかなだめて風呂にいれて、うちの旦那が聞き出してくれた内容によると。

お年頃の息子君、夜にこっそり自分の部屋でいかがわしい動画を見ていた。

すると、偶然その現場を従姉が目撃。

慌てる息子君を前に、従姉は何故か彼を亡き旦那さんの名前で呼び、服を脱いで迫ってきたのだという。

あまりの恐怖と混乱に息子君は嘔吐しながら家から飛び出し、パニック状態のままどうしていいか分からず我が家に来たと。

信じられなかったが彼の様子が尋常じゃなかったので、ともかくもと伯父夫婦(息子君の祖父母)に連絡、従姉の様子を見に行ってもらった。

そしたら、従姉の家には警察が来ていた。

従姉は警察に「小学生の息子が帰宅してない。主人はまだ残業中」と話していたそうだ。

仰天した伯父夫婦、警察にこちらの正しい状況を伝え、従姉に「旦那さんはもう亡くなっただろうと」声をかけるが、話が通じない。

息子君はもう中学生だと伝えても「そんなわけないでしょう、うちの子はまだ小学生よ」と笑っていたらしい。

旦那さんの仏壇もあるぞと示しても「それは主人の父の仏壇だ」と譲らない。

遺影も旦那さんのではなく「旦那父のだ」と。

とにかく従姉の中で旦那さんは生きていて、息子君は小学生ということになっているらしかった。

そうして押し問答を続けるうち、従姉の様子がだんだんおかしくなり「うちの子はどこいったー」と叫んで暴れ出し、警官にとり押さえられても暴れ続けたため、最終的に救急車が来て担架に縛り付けられて運ばれた。

そのあとは大変だった。

鎮静剤が切れると、従姉は息子君を探して暴れるようになってしまった。

いくぶんか落ち着いているときに医師がカウンセリング?みたいな聞き取りを続けた結果、旦那さんが亡くなったときに受けたストレスが、今になって反動で出てきたということだった。

一度壊れて、戻ったと思っていた従姉の心は、壊れたまんまだった。

それを今まで、か弱い息子君を守って育てて生かさなきゃ、という使命感だけでギリギリ繋ぎ止めている状況だった。

そしてあの夜、息子君の性的な一面に触れた瞬間、旦那さんソックリに成長した息子君は、そのまま従姉のなかで「旦那さんそのもの」にとって変わってしまったらしい。

もはや従姉の中の息子君は、無邪気に母親に飛び付いてきた小学生時代のころの息子君でしかない。

大人に近づいた息子君は、「旦那さん」という認識になってしまうということだった。

そうやって旦那さんは生きていると思い込むことで、従姉は自分の心を「旦那さんの氏」というストレスから守っていると。

立ち直るにはとにかく、従姉が旦那さんの氏を受け入れるしかないのだが、

すべてをシャットダウンして妄想に逃げている今の状態では難しいと診断されてしまった。
159: 20/06/13(土)09:54:49 ID:ez.h6.L1
私たち夫婦も、伯父夫婦も、従姉のきょうだいたちも親族も、それを聞いて泣きに泣いた。

みんな従姉がどれだけ旦那さんを大切に思っていたか知っていたから、狂ってしまった従姉がいたたまれなくて、やるせなくて。

もっと早く従姉の精神状態に気づいていれば今回の事件は防げたのでは、息子君は守れたのではと、悔やんでも悔やみきれない。

しかし現実問題として、実母に迫られるという多大なトラウマを負い、

従姉に会うことはおろか話題を聞くだけで体調をくずしてしまう息子君がいる以上、このまま従姉を放ってはおけない。

結局、色々行政の助けを借りたりして、従姉はそういう人の集まる施設に収容された。

息子君は、従姉の弟(独身で独り暮らし長く家事ばっちり)のところに身を寄せた。

うちで面倒を見ても良かったんだけど、従姉くらいの女性全般に対し拒否反応を起こしてしまうようなので。

それから私は、折に触れて従姉に会いに行くのだけど、彼女の状態は変わらなかった。

落ち着いているときは私のよく知る優しい従姉で、楽しそうに旦那さんや息子君との思い出を語ってくれる。

けど、いったん発作のようなものが始まると、もういない旦那さんや幼いころの息子君を探し求めて錯乱する。

そんな状態がずっと続いた。

伯父夫婦も、従姉のきょうだい達も、我々も少しずつ疲弊していく。

唯一の救いは、息子君が時間はかかったけどどうにかトラウマと折り合いをつけ、途切れていた学校にも通い、方々の力を借りて大学進学を果たし就職できたこと。

我が家との交流も再開し、以降、機会があればうちに寄って我が子たちと近況報告しあうようになった。

でも、うちの子から聞いた話によると、息子君は恋人が出来ても長続きしないですぐ別れてしまうらしい。

家庭環境のせいで女性の方から断られることも多いようだ。

その矢先、本当に突然、従姉が亡くなった。

ちょっと詳細はぼかすけど、誰の責任でもない事故氏のようなものだった。

状況が状況だったので、ひっそりとあげられた従姉の葬式で、あの夜以来、初めて息子君が従姉と対面した。

みんなハラハラして対面を見守ってたんだけど(会うと息子君が希望した)、彼は泣きも怒りもしなかった。

無の表情で、横たわる従姉を見つめて、一言。

「やっと終わった」

なんかそれを聞いたとき、息子君が今まで抱えてきた闇とか、悲しみとか、孤独とか、逆に赤ちゃん抱えて幸せそうだった従姉の姿とか、従姉の子供時代の姿とかが一気に押し寄せてきて、言葉にならないぐらい泣いてしまった。

あんなに素素敵だった従姉は、息子君に対して許されない加害者になってしまったんだというのが悲しかった。

もちろん一番苦しいのは息子君本人だから、とても従姉を許してあげてなんて言えないし、言っちゃいけないと思う。

でも、なんか、従姉の人生ってなんだったんだろうと切なくなる。

心は壊れていたかもしれないけど、彼女がたくさんの愛情を注いで息子君を育てていたのは、事実だと思うんだけどな。

以降、どこかスッキリした様子の息子君とは対照的に、いつまでたっても悶々としてしまう自分がいる。

せめて従姉が、あの世では旦那さんとゆっくり語り合えてたらいいなと祈るばかり。