最初の1年は、平日の昼間からゴルフや旅行、映画鑑賞など、やりたかった趣味をすべてやり尽くしました。しかし、なんの制約もなく「いつでもできること」になった途端、それらの趣味は急速に色褪せ、単なる「暇潰し」へと成り下がってしまったのです。
朝起きても、その日にどうしてもやらなければならないことはなに一つありません。平日の昼間、カジュアルな服を着て街を歩くと、スーツ姿で忙しそうにしている同世代のビジネスパーソンとすれ違います。FIREを始めたころは「君たちは労働しているのに、俺はいまからマグロ定食を食べるためだけに三崎まで行くんだ」と優越感に浸っていました。
しかしこのごろは、彼らが社会の歯車として躍動している姿をみるたびに、「自分は社会から必要とされていない、ただの余剰人間なのではないか」という疎外感に苛まれるようにまでなっていきました。
極めつけは、16歳になった息子の純粋な疑問です。ある日唐突にこう尋ねられました。
「お父さんって、いまはなんの仕事をしているの?」
何気ない質問でしたが、佐藤さんは返答に少し詰まったそうです。「いまは働いていないよ」と答えると、息子は、「じゃあ、友達に聞かれたらなんて説明したらいいんだろう」と口にしました。
このやりとりは、それまで佐藤さんが目を背けてきたFIRE生活の歪みを一気に爆発させる決定的な引き金となりました。
「お金さえあれば幸せになれる、働かないことこそが至高の自由だと思い込んでいました。しかし現実は違ったのです。社会的なつながりをすべて失い、自分の子どもにすら『何者であるか』を誇らしく説明できない。FIREなんてするんじゃなかった! そう思いましたよ」
朝起きても、その日にどうしてもやらなければならないことはなに一つありません。平日の昼間、カジュアルな服を着て街を歩くと、スーツ姿で忙しそうにしている同世代のビジネスパーソンとすれ違います。FIREを始めたころは「君たちは労働しているのに、俺はいまからマグロ定食を食べるためだけに三崎まで行くんだ」と優越感に浸っていました。
しかしこのごろは、彼らが社会の歯車として躍動している姿をみるたびに、「自分は社会から必要とされていない、ただの余剰人間なのではないか」という疎外感に苛まれるようにまでなっていきました。
極めつけは、16歳になった息子の純粋な疑問です。ある日唐突にこう尋ねられました。
「お父さんって、いまはなんの仕事をしているの?」
何気ない質問でしたが、佐藤さんは返答に少し詰まったそうです。「いまは働いていないよ」と答えると、息子は、「じゃあ、友達に聞かれたらなんて説明したらいいんだろう」と口にしました。
このやりとりは、それまで佐藤さんが目を背けてきたFIRE生活の歪みを一気に爆発させる決定的な引き金となりました。
「お金さえあれば幸せになれる、働かないことこそが至高の自由だと思い込んでいました。しかし現実は違ったのです。社会的なつながりをすべて失い、自分の子どもにすら『何者であるか』を誇らしく説明できない。FIREなんてするんじゃなかった! そう思いましたよ」
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