現在日本は、世界第3位の対外純資産国で、過去最大の水準にありますが、ここで重要なのは、資産の「量」ではなく「中身」が大きく変わったことです。

2011年から2012年頃まで、日本の対外純資産の大半は米国債や海外株式などの有価証券でした。有価証券は流動性が高いため、危機が起きれば売却して円に戻すことができます。しかし現在は、対外純資産の約6割を直接投資が占めています。その中身は、日本企業が海外に建設した工場や保有する土地・設備、あるいはクロスボーダーM&Aによって取得した海外企業などです。

こうした資産は、有事だからと言って簡単に売却できるものではありません。その結果、海外へ流出した円が以前のようには国内へ還流しなくなっているのではないかと考えています。つまり、日本は依然として世界有数の対外純資産を保有しているものの、その中身が変化したことで、「安全資産としての円買いが起こりにくくなった」というのが要因の1つではないかと考えています。