厚生労働省の資料によると、日本の火葬率は2000年代以降、99%以上で推移している。ただし、およそ100年前の大正初期は30%台だった。そこから徐々に上昇し、第2次世界大戦後は都市化の加速と連動する形でさらに増加。1979年には90%に達した。土葬はかつて人力で墓穴を掘っていたため、集落を挙げての葬送だったが、地域のつながりが薄れるにつれて衰退していったとみられている。火葬設備の急速な発達や都市部での土葬用地の不足なども影響しているようだ。

ただ、微妙な変化の様子も見える。

東京大学大学院人文社会系研究科の堀江宗正教授による死生観調査では、「地中への土葬を希望する」との項目に対し、「ややそう思う」「とてもそう思う」と答えた人は、2019年の14.2%から2024年には20.4%に増えた。2024年の調査対象1047人のうち、イスラム教の信奉者は0.2%に過ぎず、土葬志向はイスラム教徒だけでは説明できない。散骨や樹木葬、共同納骨などへの支持も広がっており、背景には宗教だけでなく、「家墓」の衰退、墓の継承負担、葬送の個人化という社会の変化があるとみられるという。